BambooTracker チュートリアル 後編
チュートリアルの前編では、インストゥルメントの用意、ベース、ドラムの打ち込みまでを行いました。後編ではコード、メロディ、そしてSSGチャンネルの打ち込みとオーダーリストの使い方を説明します。
チュートリアル前編はこちらを参照してください。
maakmusic.hatenablog.com
パターンの打ち込み
前編で作った曲の続きを打ち込んでいきます。前回保存しておいたファイルを読み込んでおいてください。
コード
FM2、3、4チャンネルを使ってコードを打ち込みます。YM2608はモノフォニック音源なので、3つチャンネルを使ってトライアドコードを入力します。
インストゥルメント一覧で 01:Chords を選択して、以下のノートを入力してください。
1、2小節
3、4小節
横棒はノートオフで、このステップ以降は次のノートまで休符になります。
ノートオフは - キーで入力する事ができます。
入力が終わったら再生して確認します。
コードの音量が大きく感じるのでボリュームを小さくしましょう。FMのボリューム最大値は7Fなので70位にします。
※FMのボリュームカーブは直線的ではなく対数的に減衰する為、数値の割合に対して小さくなったと感じると思います。
コードにステレオ感を出す為に、パン(定位)を設定します。3和音の下の音を左に、上の音を右に振ります。
パンを設定するには、パターンエフェクトを使用します。パターンエフェクトはボリューム列の右4桁を使って入力します。4桁のうち、左2桁がエフェクトの種類、右2桁がエフェクトの値です。エフェクトの種類は沢山あるのですが、パンは 08xx になります。xxの部分は 01=右、02=左、03=中央 となっています。
以下のように入力してください。
パンを設定したことでステレオ感が出ました。
補足ですが、BambooTrackerはボリュームやパターンエフェクトは、一度設定するとそのステップ以降ずっと効果が持続します。
メロディ
FM5チャンネルを使用してメロディを打ち込みます。
インストゥルメント一覧で 02:Melody を選択して、以下のノートを入力してください。
1、2小節 3、4小節
メロディに表情を付けていきましょう。
パターンエフェクトのトーンポルタメントを使用して、ノートに変化を付けます。トーンポルタメントはあるノートから別のノートへ音程を滑らかに変化させるエフェクトで、03xx になります。xxは変化の深度を表し、大きいほど早く後の音へ変化します。
メロディの3番目のノートを以下に変えてパターンエフェクトを入力してください。エフェクトの値は20にします。
07ステップでF-5からG-5へ20の深度で音程を滑らかに変化させるという意味になります。
再生すると、07ステップ以降、ずっとトーンポルタメントの効果が持続してしまいます。エフェクトを使用した後は、次のノートのステップでエフェクト値を00にして効果を無効化する必要があります。
次にパターンエフェクトのビブラートを使います。ビブラートは 04xy でxが速さ(小さい程早い)、yが深度(大きい程揺れ幅が大きい)になっています。
現在パターンエフェクトは1列表示されていますが、実際には4列まであり、チャンネルのヘッダー部にある + - で表示を増減する事ができます。
列の表示を1列増やし、2列目にビブラートのエフェクトを入力してください。
メロディが出来ました。
空いているFM6チャンネルにメロディと全く同じノートをコピーしてディレイ効果を作ります。
FM5チャンネルでダブルクリック、または CTRL+A キーでチャンネル全体を範囲選択してコピーし、FM6チャンネルの先頭行で貼り付けてください。
FM6の先頭行に空のステップを挿入して、チャンネルを2つ使ったディレイ効果を作ります。ステップの挿入は INS キーを使います。どの位遅らせるかは好みですが、付点8分(3ステップ分)くらいの長さが良いでしょう。
このままではディレイ成分が強すぎるので、ボリュームを小さくします。また、メロディの同じ音同士の干渉を避けるため、少しピッチをずらすと良いと思います。
ピッチはパターンエフェクトのデチューンを使います。エフェクトは 0Pxx です。xxの部分は80を中心として、下はマイナス、上はプラス方向にピッチが変わります。
ここまで打ち込むとこんな感じに鳴っていると思います。
SSGチャンネルの打ち込み
ここまではFMチャンネル部について説明してきましたが、SSGチャンネルについても触れていきます。SSGチャンネルを使って、装飾となるシーケンスを打ち込みます。
SSGチャンネル用のインストゥルメントがまだないので作成します。
パターンエディタのSSG1にカーソルがある状態で、新規インストゥルメントを押すと、SSGインストゥルメントが作成されます。
SSGインストゥルメントの名前を seq. に変更します。
ダブルクリックして、SSGインストゥルメントを編集します。ボリュームエンベロープだけ設定したインストゥルメントを作りましょう。
エンベロープタブをクリックして、エンベロープのチェックボックスをONにします。
+ボタンでエンベロープの長さを3まで増やし、以下と同じになるようにグラフを直接クリックしてエンベロープを作ります。
ノートキーで音を確認したら、インストゥルメント編集画面を閉じます。
03:seq. を選択して、以下のノートを4小節分入力します。
SSG2チャンネルにディレイ効果を作ります。
メロディの時と同じ要領でコピー&ペーストして、ボリュームとピッチ(デチューン)を設定します。
FMと異なるのはボリュームの最大値が0Fになります。ディレイチャンネルは0Cくらいで良いでしょう。
こんな感じになりました。
オーダーリストの操作
パターンが完成し、4小節の曲ができましたが曲としては少し短すぎます。画面左上にあるオーダーリストを操作して、「パターンを並べる」→「新たなパターンを打ち込む」を繰り返していく事で、一つの曲を構成していく事になります。
オーダーリストの最も左の00はオーダー番号、各チャンネルの00はパターン番号で、番号はチャンネル毎に独立しています。今まで入力してきたノートやエフェクトは番号00のパターンに対して打ち込みをしていたという事になります。
現在、1行のオーダーで構成されていますが、右クリックメニューより [オーダーを挿入] する事で、オーダー行が増えて新たに空のパターン番号01が表示されます。※オーダーリストの編集は編集モードで操作してください。
パターン番号が同じであれば、同じノート情報が参照されます。また、パターンはオーダーリスト上で何度でも使用することが出来ます。
オーダー01行では、メロディ以外は最初のパターンと同じで、メロディだけ新しいパターンにしてみます。FM5、6は空のパターン01、それ以外はパターン00を入力してください。
パターンエディタに目を向けると、メロディだけ空のパターンになっていると思います。
インストゥルメント一覧で 02:Melody を選択して、次のメロディを打ち込み、ディレイチャンネルへコピーします。
1、2小節
3、4小節
お題の曲はこれで完成となります。
WAVファイルへのエクスポート
最後に、完成した曲をWAVファイルへエクスポートします。メニューバー [ファイル] - [エクスポート] - [WAV] を選択します。
サンプリングレートとループ回数を任意で選択して書き出します。
エクスポートはWAV以外にもVGMとS98形式で書き出す事ができ、各種VGMプレイヤーやPC-98実機等で再生する事が可能です。